釣り初心者の方や、はじめての方でも簡単に始められて、更に釣果も期待できる釣りといえば「ちょい投げ」。
堤防や釣り公園、砂浜なんかでも手軽にできる釣りです。
「ちょい投げ」とは一体どんな釣りなのか?
わかりやすく言ってしまうと、専門のテクニックや釣り道具が必要な「本格的な投げ釣り」を、誰でもどこでも楽しめるようにしたもの。
「本格的な投げ釣り」と言えば、大きなリールと長い竿を使用して、重いオモリを遠くまで投げる豪快な釣り。
投げ釣りをするには専用のリールと竿が必要だし、遠くに投げるテクニックも必要になってくるので「ちょっとやってみよう!」と思い立っても、中々手が出しにくかったりします。
そこでお勧めしたいのがちょい投げ。
「遠くに投げる」という事にこだわらず「ちょいっ」と投げるだけで十分なのであれば、必ずしも重いオモリを使う必要はありません。
重いオモリを使う必要がないという事は、長くて大きい竿を使う必要もない。
そして遠くに飛ばすことにこだわらないという事は、大きなリールも使う必要がない。
つまり他の釣りで使用している釣り竿やリールを、ちょい投げ釣りに代用できるという事です!
そうなるとハードルがグッと下がりますよね。
ちょい投げ釣りでは、ほぼどんな釣り竿でも楽しむ事ができます。
本格的な投げ釣りよりも気軽に楽しめて、しかもコストをかけずに始められ、釣れる魚も色々。
まさに初心者の方が楽しむ釣りとしてはピッタリです。
「ちょい投げ釣り」と「本格的な投げ釣り」は似ている釣り方なのですが、
最近は「ちょい投げ」という独自の釣りジャンルとして、その立場が確立されつつあります。
釣れる魚も、キス、カレイ、ベラ、マダイ、クロダイ、カワハギなどなど・・・
本格的な投げ釣りと同じように沢山の魚種を釣る事ができます。
そして夏や秋のハイシーズンには、大漁になりやすいのも魅力。
簡単に始められる「ちょい投げ」にも、「本格的な投げ釣り」にも、それぞれの楽しさがあります。
詳しくはのちほど解説していきますが、まずは初心者の方でも気軽にできる「ちょい投げ」に挑戦してみませんか?
このページでは、ちょい投げをお勧めする理由から、ちょい投げのコツなどを一通り解説していきたいと思います。
ぜひ参考にしてみてください!
そもそも「投げ釣り」ってどういう釣り?
ちょい投げも本格的な投げ釣りも、そもそも「投げ釣り」というひとくくりのジャンルの釣り方です。
では「投げ釣り」とは一体どういう釣りなのか?
大まかにざっくりと言ってしまうと、
「オモリとエサの付いた仕掛けを、海や川に向かって投げ入れ、底付近にいる魚を釣る釣り方」
のこと。
これは「ちょい投げ」も「本格的な投げ釣り」も同じです。
しかし本格的な投げ釣りの場合・・・
海や川に向かって広い範囲の魚を探ろうとすると、なるべく遠くまで仕掛けを投げなければなりません。
遠くまで投げるためには、軽い仕掛けを使ってもなかなか飛んではくれません。
そのため、25号や30号(グラムで言うと100g前後)くらいの重い仕掛けを使って投げ釣りをします。
そして遠くまで飛ばす為に、専用の大きな竿やリールも使用しなければなりません。
もちろん、それを扱う為のテクニックやパワーも必要になりますね。
これがいわゆる「本格的な投げ釣り」。
仕掛けを遠くまで飛ばすという爽快感は、この本格的な投げ釣りの特権ですが、テクニックも必要ですし投げ釣り専用の道具も必要になるので、簡単には始められない釣り方です。
それに比べてちょい投げで使用するオモリは、5号〜10号(20g〜35gくらい)の軽い物がメイン。
本格的な投げ釣りと比べたら、3分の1から5分の1の重さです。
軽い仕掛けを投げるので、ほぼどんな釣り竿でも対応可能。
ルアー釣りやサビキ釣りに使用する竿とリールを使い回して、ちょい投げで遊ぶ事ができます。
重いオモリと専用タックルに比べたら仕掛けを遠くまで投げられないので、広範囲に魚を探りにくいですが、
そもそも河口や堤防、ちょっとした砂浜などでは、岸付近まで魚が寄っている事も多く、仕掛けを遠くまで投げる必要はほとんどありません。
また複雑なテクニックやパワーも必要ありませんので、女性や小さいお子さんでも楽しむ事ができます。
「投げ釣り」という釣りジャンルの中の一つとしての「ちょい投げ」でしたが、最近は「ちょい投げ」というジャンルとして成立してしまうくらい、堤防などでは大人気の釣りです。
ちょい投げのメリット
以上、「投げ釣り」について簡単に説明をしてみました。
色々な釣りがある中で、初心者の方にちょい投げをオススメしたい理由。
他の釣り方と比べたちょい投げのメリットを、以下にご紹介していきたいと思います!
コマセを使わない→汚れにくい
堤防で大人気の釣りといえば、ちょい投げ以外にもサビキ釣りやウキ釣りなんかがあります。
アジやサバ、イワシなどの美味しい魚が沢山釣れて良いですよね。
タイミングが良ければ入れ食いにもなる、簡単でとても魅力的な釣りです。
ですが、「サビキ釣り」も「ウキ釣り」も、コマセ(アミエビや集魚剤などの粉)を使用する釣り。
そしてこのコマセ(アミエビ)、準備をするのが結構大変だったりします。
- 冷凍されたアミエビを解凍しなければならない
- 解凍したアミエビを入れるコマセバケツを準備する必要がある
- コマセが手に付いて汚れやすい
- 釣りが終わったら、アミエビで汚れた堤防を洗い流す必要がある
- 服にアミエビが付かないように、気をつけなければならない(付いたら匂いと汚れで大変な事に…)
それと比べるとちょい投げで使うエサは、基本的に針につけるエサのみ。
コマセを使用しないので、エサの準備も楽で、後片付けも楽。
持ち物も少なくなりますし、釣り場を可能な限り汚さずに済みます。
堤防などでちょい投げをするメリットとしては、これが一番大きいかもしれませんね。
ターゲットは絞らず、どこでも遊べる!
例えばサビキ釣りやウキ釣りは、堤防などの「釣りをする場所から、手前の水深がある程度深い所」でないと釣りをすることが出来ません。
ルアー釣りも狙う魚種によりますが、あまりにも浅過ぎるような場所だと釣りにならないですよね。
それに比べるとちょい投げは、ほぼどんな場所でも楽しむことができます。
砂浜からのちょい投げでは、遠くまで飛ばさなくてもキスやクロダイなどが狙えますし、河口などの浅い場所でもクロダイやシーバス、ルアー釣りが出来ないような干潟近くの釣り場でも、ハゼ釣りを楽しめます。
ターゲットを絞らなければ、どんな場所でも遊ぶ事ができるんです。
さらに「海」という事にこだわらなければ、川や沼、池でも楽しめます。
ブラックバスやブルーギル、ナマズ、ウナギ、などなど…
ちょい投げと一言で言っても、多彩な場所で、多彩な魚種を狙うことができるのも大きな魅力の一つです。
ちょい投げのデメリット
以上、ちょい投げの良い所をいくつかあげてみました。
「ちょい投げって良い所しかないじゃん!」
と思ってしまいがちですが、残念ながら一つだけ…問題点があります。
釣り餌に触れるようになるまでは慣れが必要!
普段から釣りをされている方にとっては、特に何とも思わない部分なのですが…
投げ釣りは、(基本的には)アオイソメや石ゴカイなどの生きエサを使用します。
はじめて釣りをする方にとって、まずはこの「生きエサに触る」という所が第一のハードルになりそうです。
↓↓↓↓こちらがアオイソメと石ゴカイの写真。
(苦手な方は、ここからほんのちょっと飛ばして下さい)
「こんなの触るの無理だろー・・・」と思っていても、
ほんのちょっとずつ触っていく事で、結構慣れていくものです。
「そうは言ってもやっぱり触るのはイヤ!」
「エサに触るのがムリだからちょい投げできないよ・・・」
という方もいるかと思います。
そういう方の為に、投げ釣り用の人工エサも売られています。
ゴムのような材質で、アオイソメなどの姿を模した人工エサ。
これを使ってもちょい投げは出来るので、初めはこれを使っても良いかもしれないですね。
人工エサでも釣れる事は釣れるのですが、やっぱり生の生きエサには敵いません。
いつかはアオイソメや石ゴカイを使えるようになる為に、徐々に慣れていきましょう!
最初は指で触れてみたり、ちょっとつまんでみるだけでも大丈夫。
慣れれば、意外なほど普通に触れるようになります。
ちょい投げに必要なアイテム(タックル)
「5号から10号くらいの仕掛けを投げられればどんな竿やリールでもOK」と上の方で書きましたが、
ちょい投げと特に相性が良く、扱いやすいタックルという物があります。
ボクは今までちょい投げに色々な釣り竿を使ってきましたが、今のところ「コレは使いやすい!」と感じて愛用している竿が、上の写真の3つの釣り竿です。
エギング用のロッド「エメラルダスX」
万能ロッドの「フリーゲーム」
ちょい投げ用ロッドの「リバティクラブ ショートスイング」
リールは「レガリス」と「レブロス」です。
ボクはジギングやエギングなどの釣りもするので、すべてのタックルが「ちょい投げ”専用”」というわけではなく、共用の釣り竿とリールとして使っています。
それぞれの釣り竿にメリットがあるのですが、ちょい投げをする時に使いやすいタックルとは何か?
ざっくりとまとめると、以下のようなものになります。
竿については、1.8m〜2.7m(フィートで言うと、大体6ft〜9ft)のエギングやシーバス用のルアーロッドがオススメ。
ルアーロッドはフィート表記で長さが書かれている事が多いので、1フィートは大体30cmと覚えておきましょう。
リールについては、2500番〜3000番くらいの小型のスピニングリール。
とはいえ、番号で言われてもちょっとピンと来ないですよね。
リールの入った箱やリール自体に番号が書かれていますので、お店で買うときはそれを目安にしましょう。
2500番〜3000番くらいのリールは、サビキ釣りやウキ釣り、ルアーを使った釣りなどほとんどの釣りで使われる、使い勝手のいいサイズです。
新しく買うときは、2500番〜3000番くらいのサイズの物を買っておくのがオススメ。
そしてもう一つ大事なのが「リールに巻く糸」。
道糸とも言います。
正しい太さの道糸を選ぶことで、ちょい投げの楽しさと快適さってグッと変わります。
道糸には大きく分けて2種類。
peラインとナイロンラインがあり、それぞれに特徴があります。
オススメの太さは、
ナイロンラインだったら2号〜2.5号。
peラインだったら0.8号〜1号。
この太さを目安に選ぶと良いと思います。
ちなみに初心者向けなのはナイロンラインと言われていますが、個人的には魚の当たりが手元にダイレクトに伝わるpeラインの使用がオススメです!
釣り場の探しかた
いろんな所に水場のある日本。
サビキ釣りやウキ釣りと比べて、特にフィールドを選ばないちょい投げであれば、釣りができる所なんていっぱいある!
と思いたいですが、ほんとの事を言うと…実際にはそうでもありません。
残念ながら釣りができそうな漁港でも、多くの場所は「釣り禁止」となっています。
漁港って、漁師さんの”仕事場”なので、「釣りをしてもOK!」と言われる漁港は、”漁師さんの優しさによって使わせてもらっている”というのが、基本的な考え方なんです。
なので釣りをする方のマナーが悪いと、漁港はすぐに「釣り禁止!」となってしまいます。
ゴミを持ち帰らず捨てていったり、堤防を汚したまま帰ったり、漁師さんの仕事道具を壊したり、などなど・・・
残念ながら、そういう釣り師の方が割と多く、釣り禁止になってしまった漁港って非常に多いんです。
池や川なんかも、”危ないので釣り禁止”となっていたり”釣りをするのには許可が必要”って場所も多いです。
投げ釣りに限った事ではないのですが、釣り場を探すのにいちばん確実な方法。
それは「釣りをする前に釣具屋さんに寄っていって、買い物のついでにちょい投げが出来そうな釣り場を聞いてみる」こと!
釣具屋さんって、近所の釣り場の情報に精通しています。
「ちょい投げをしたいんですが、どこかオススメの場所はありますか?」
と聞いてみれば、今何が釣れているか、というような大事な情報を聞けたりもしますので、まずは気軽に質問をしてみるのがベストです!
特に大きな釣具屋さんでは、近所の釣り場の情報をまとめた紙なんかを配布してたりもします。
そういう物もしっかりチェックしておくと良いですよ!
ちょい投げの「仕掛けのセッティング」と「仕掛けの投げ方」
ちょい投げに使うアイテムや、釣り場の探し方について一通り説明をしてきました。
最後にちょい投げ仕掛けのセッティングと、仕掛けの投げ方(飛ばし方)について軽くご説明をしていきたいと思います。
仕掛けのセッティングについて
ちょい投げの仕掛けって、コマセやウキを使わないから他の釣りと比べてとてもシンプル。
基本は、釣竿に天秤などの仕掛けを結ぶ。
そしてその天秤に、針などの仕掛けを結ぶ。
これだけです。
もし可能ならば、天秤と糸を結ぶときは直接結ぶのではなく、サルカンを挟むのがオススメです。
釣具屋さんでよく売られている投げ釣り仕掛けならば、最初からサルカンがついてるのでこちらは気にしなくても良さそうですね。
釣り竿側から出ている糸(道糸)と、天秤を結ぶ所のサルカンは、用意しておくのがオススメです。
サルカンは買っておいても良いですが、使い終わった仕掛け針に付いてるサルカンを捨てずに取っておくと良いです。
まとめて捨ててしまいがちですが、ちょい投げでは意外と役に立ちます。
仕掛けの投げ方(飛ばし方)について
仕掛けの飛ばし方も、慣れて仕舞えばカンタンです。
基本的な動きは3ステップ。
竿を構える→竿を振る→竿を止める
この3つの動きです。
どのような動き方になるか?
文字では説明しにくいので、図にしてみました↓
時計で言うと、「10時方向」の位置に竿を構えて、「2時方向」まで竿を振る、というカンジ。
構えている状態の時に、リールのベールアームを起こし、手元にある糸を人差し指で押さえます。
竿を振って、12時方向を過ぎたあたりで人差し指を離し始め、2時方向に来た時に完全に離れている状態がベスト。
この一連の動きを、最初は早くやろうとせず、ゆっくりとやってみましょう。
ゆっくりとやっても、仕掛けは意外と飛びます。
注意1:投げる前には、後ろに人がいないか必ずチェック!
仕掛けを投げる前にうしろを向いて、必ず人がいないか確認しましょう。
すぐ後ろに人がいると、仕掛けを投げたときの勢いで後ろの人に釣り針が刺さってしまう危険があります。
釣り場や釣り施設によっては、このような事故を防ぐために「投げ釣り自体が禁止」もしくは「竿を振りかぶって投げることを禁止」している所もあります。
もちろんそのような場所では、それぞれの施設のルールに従って釣りをしないといけませんが、
禁止されていない場所であっても、後方の確認は忘れずに行いましょう!
もし後ろに人がいる場合は、その人が通り過ぎるまで待機。
反対側の後ろでも他の人が釣りをしている場合は、ちょっと場所を変えた方が良いですね。
注意2:ベールアームの起こし忘れに注意!優しく投げる!
仕掛けを投げる前には、リールのベールアームを起こす必要があります。
が、意外とこのベールアーム、起こし忘れて投げてしまう人が多いです。
ベールアームを起こし忘れて投げてしまうと、糸が切れて仕掛けだけが飛んでいってしまう可能性がありますし、最悪の場合、竿が折れてしまうなんて事も・・・
対処方法は「ベールアームを起こし忘れない!」というのは当たり前ですが・・・
「力を入れて思いっきり投げ過ぎず、ゆっくり優しく投げる」というのが一番です!
釣り竿はそもそも反発力があるので、力を入れなくても仕掛けはちゃんと飛ぶように出来ています。
なので、”仕掛けを飛ばす”という仕事は釣り竿に任せましょう。
優しく投げれば、たとえベールアームを起こし忘れても、大きなトラブルにはほとんどなりません。
明日からでも、ぜひちょい投げを始めてみてはいかが?
以上、ちょい投げについてのご紹介をしてきました。
カンタンに始められて、美味しい魚も釣れるちょい投げ。
釣り初心者の方やはじめての方にぴったりです。
ちょい投げに限らず投げ釣り全般に言える事なのですが、「仕掛けを海に投げる」という爽快感。
これが大きな魅力ではないかと思います。
魚が釣れる事はとても嬉しいですが、万が一魚が釣れなかったとしても、仕掛けを投げる気持ち良さは本当に爽快で、それだけでもスッキリした気分になれます!
他の釣り方と比べて、ちょっとスポーツ感が強い投げ釣り。
ちなみに、「スポーツキャスティング」という、飛距離を競い合う大会もあるくらいです。
本格的な投げ釣りは釣り竿もリールも専用の物を使うので、ちょっとハードルが高いですよね。
でもちょい投げなら、今手元にある竿とリールで、明日からでも十分始められます!
まずはちょい投げから始めて、投げ釣りの楽しさをぜひ味わってみてください!